結論
Looker Studioを導入した直後、多くの事業者が最初にたどり着く運用は、各モールの管理画面からCSVをエクスポートし、Googleスプレッドシートに貼り付けて、それをLooker Studioのデータソースとして接続するというものだ。モール数が少なく更新頻度も低いうちは問題なく機能するが、モールが増える・更新頻度が上がる・複数人で運用を分担するようになると、以前のExcel手作業集計と同じ「工数」「属人化」の問題が形を変えて再発する。BIツールが解決するのは見せ方であって、集める作業ではないという構造がここでも表れる。
はじめに: 「とりあえずCSVをスプレッドシートに貼ってLooker Studioにつなぐ」という現実的な第一歩
Looker Studioを導入した直後、多くの事業者が最初にたどり着く運用は「各モールの管理画面からCSVをエクスポートし、Googleスプレッドシートに貼り付けて、そのスプレッドシートをLooker Studioのデータソースとして接続する」というものだ。前の記事で触れた通り、Looker Studioは楽天市場・ZOZOTOWN向けの標準コネクタを持たないため、スプレッドシート経由でのデータ投入は、特別な開発をせずに始められる現実的な最初の一歩になる。
最初はうまくいく。むしろダッシュボードらしく見える
モール数が少なく、更新頻度も週1回程度であれば、この運用でも「グラフになった」「一画面で見られるようになった」という体感は十分に得られる。BIツールを導入した効果を実感しやすいのは、まさにこの初期段階だ。
崩れ始めるのは「更新」と「モール追加」のタイミング
- 更新の手間: モールが増えるほど、毎回CSVをダウンロードしスプレッドシートに貼り替える作業自体が増え、結局は以前のExcel集計と同じ「手作業の工数」の問題に戻っていく
- 反映のタイムラグ: 手動更新である以上、ダッシュボードの数字は「最後に貼り替えた時点」のものであり、リアルタイム性は最初から期待できない
- フォーマットのズレ: モール側の管理画面のCSV出力形式が変わると、スプレッドシートの列構成とズレて、グラフが正しく表示されなくなることがある
- 属人化の再発: 「どのシートのどの列を、どういう手順で貼り替えるか」が特定の担当者の頭の中にしかない状態になりやすく、これは手作業のExcel集計で起きる問題と同じ構造だ
つまりLooker StudioというBIツールを導入しても、その手前のデータ投入工程を手作業のまま残していると、「グラフの見た目は良くなったが、運用の大変さは変わらない」という状態に陥りやすい。BIツールが解決するのは「見せ方」であって「集める作業」ではないという、構造的な役割分担がここでも表れている。
どこまでなら「手動CSV運用」で持つのか
目安として、モール数が1〜2、更新頻度が月次で十分な段階であれば、手動CSV運用でも大きな支障は出にくい。逆に、モールが3つ以上になる、週次以上の更新頻度が必要になる、あるいは複数人で運用を分担する必要が出てきた段階では、手作業の工程自体を自動化されたデータ連携に置き換えることを検討する目安になる。
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よくある質問
Q. スプレッドシート経由の運用は最初からやめるべきですか?
モール数が少なく、更新頻度も低い段階であれば、無料で始められる現実的な選択肢として悪くない。問題は、モールが増えたり更新頻度が上がったりしても同じ運用を続けてしまうことにある。どのタイミングで自動化に切り替えるかの目安を事前に持っておくとよい。
Q. Looker Studioの更新頻度の設定を上げれば解決しませんか?
Looker Studio自体の表示更新設定を上げても、その裏にあるスプレッドシートの中身が手動で更新されていなければ、表示される数字は古いままになる。ボトルネックはBIツール側の更新設定ではなく、データを投入する工程が手作業である点にある。
Q. 自動化するには何が必要ですか?
各モールのAPIや受注一元管理システムからスプレッドシートへの手作業の転記をなくし、BigQueryなどのデータベースへ自動的にデータを集約する仕組みに置き換える必要がある。その仕組みが整って初めて、Looker Studio側は自動的に最新化されたデータを見るだけという本来の役割に専念できる。
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