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Looker Studio 複数モール データ統合

Looker Studio・Metabaseで複数モールのデータを一元化しようとして詰まる理由

公開: 2026-07-30

結論

楽天市場・ZOZOTOWN・自社EC(Shopify)などの売上を一つの画面で見たいと考え、無料で使えるLooker StudioやMetabaseの導入を検討する事業者は多い。しかし実際に触り始めると、モールのデータをどう読み込めばいいか分からず、導入の初期段階で手が止まることが多い。これは操作を覚えれば解決する壁ではなく、BIツールが「データを見る道具」であって「データを集める道具」ではないという、製品カテゴリの構造的な役割に起因する。BIツールを選ぶ前に決めるべきなのは、どのツールを使うかではなく、モールごとのデータをどこに集約するかだ。

はじめに: 「無料で使えるから」と導入して、最初の壁にぶつかる

楽天市場・ZOZOTOWN・自社EC(Shopify)など複数モールの売上を一つの画面で見たいと考え、無料で使えるLooker StudioやMetabaseの導入を検討する事業者は多い。しかし実際に触り始めると、「楽天のデータをどう読み込めばいいのか」「ZOZOTOWNがデータソースの選択肢に出てこない」という壁に、導入のごく初期段階でぶつかることが多い。これは操作を覚えれば解決する類の壁ではなく、BIツールという製品カテゴリの構造的な役割に起因する。

BIツールは「データを見る道具」であって「データを集める道具」ではない

Looker Studioの公式ドキュメントでは、コネクタについて次のように説明されている。

Connectors link your underlying data to a Data Studio data source.

Google Looker Studio公式ドキュメント(About connectors, data sources, and credentials)

つまりLooker Studio自体は、どこかに存在するデータへの「接続窓口」を用意する仕組みであり、複数の異なるシステムからデータを自動的に取ってきて1つに統合する機能そのものは持たない。

Metabaseも「すでにあるデータに接続するだけ」という設計

同様の構造は、もう一つの代表的なBIツールであるMetabaseにも当てはまる。Metabase公式ドキュメントの対応データソース一覧に掲載されているのは、BigQuery・PostgreSQL・Snowflakeなどデータベース/データウェアハウス製品のみで、楽天やShopifyのような外部SaaS・ECモールAPIへの直接接続は掲載されていない。この一覧からは、Metabaseも「すでにデータベースにあるものへ接続してクエリを実行し、見せるだけ」という役割に留まると考えられる。

つまりどちらのツールも、すでにどこかに集約されたデータに接続して見やすく表示することが役割であり、バラバラの場所にあるデータを集めてくる工程はスコープの外にある。

「データの統合」機能があるように見えるのに、なぜ足りないのか

Looker Studioには複数のデータソースを組み合わせる「データの統合(Blend)」という機能がある。ただしこれは、あらかじめ個別に接続済みの最大5つのデータソースを、共通のキー項目で手動でJOINするレポート内の機能に過ぎない。公式ヘルプでも、この機能がデータソース間の関係を自動的に検出するものではないことが説明されている。つまりBlendを使うには、その前提として「楽天のデータ」「ZOZOTOWNのデータ」がそれぞれ個別にBIツールから接続できる状態になっている必要があり、そもそもの「モールごとにバラバラな生データをどう1か所に集めるか」という問題には答えていない。

楽天・ZOZOTOWN・Shopify向けの標準コネクタは用意されていない

さらに、楽天市場・ZOZOTOWN・Shopifyといったモール向けに、Looker Studioが公式に提供する標準(ネイティブ)コネクタは用意されていない。Googleが自社開発するネイティブコネクタは、BigQueryやGoogleスプレッドシート、Google広告など「Google製、または主要なデータベース」が中心であり、標準コネクタでカバーされないサービスに接続する場合は、開発者がGoogle Apps Scriptで独自に「コミュニティコネクタ」を書くか、パートナー企業が提供する有償コネクタを使うかのいずれかになる。

実務上は、モールから直接BIツールにつなぐのではなく、いったんBigQueryなどのデータベースにデータを集約し、そのデータベースにLooker StudioやMetabaseを接続する、という2段構えの設計が必要になる。BIツールを選ぶ前に決めるべきなのは「どのBIツールを使うか」ではなく「モールごとのデータをどこに集約するか」の方だ。

  • 各モールのAPIを自前で実装し、BigQuery等のデータベースに集約する
  • ノーコードのデータ連携サービス(ETL)を使い、対応しているモール・システムだけ自動化し、対応していない部分は個別に補う
  • 受注一元管理システム(複数モールの受注を一箇所にまとめるSaaS)側にすでに集約されたデータを、そこから連携する

まとめ: BIツール選定より先に「データの置き場所」を決める

Looker StudioやMetabaseの導入自体は無料または低コストで始められるため、「まずツールを触ってみよう」という順番になりやすい。しかし複数モールを併売している事業者にとって本当に必要な設計判断は、BIツールの選定そのものよりも、その手前にある「バラバラなモールのデータをどこに集約するか」という部分にある。この順番を取り違えると、ツールを導入したのに使えるデータが揃わない、という状態に陥りやすい。

よくある質問

Q. Looker StudioやMetabase以外のBIツール(Tableauなど)でも同じ問題は起きますか?

同様に起きる。TableauやPower BIなど他の主要なBIツールも、基本的な設計は接続されたデータソースを可視化することにあり、複数の異なるSaaS・モールAPIから自動的にデータを収集・統合する機能を標準搭載しているわけではない。ツールの違いよりも、データをどこに集約するかという設計が優先される点は変わらない。

Q. Looker Studioの「データの統合(Blend)」機能を使えば、モールを横断した統合はできませんか?

Blendはあくまで、個別に接続済みの最大5つのデータソースを共通のキーで手動的にJOINする機能であり、関係性を自動検出するものではない。前提として各モールのデータがそれぞれBIツールから接続できる状態になっている必要があるため、そもそもの「モールごとのデータをどう1か所に集めるか」という課題の解決にはならない。

Q. まず何から手をつければいいですか?

BIツールの操作を覚えることより先に、複数モールのデータをどこに集約するか(自前実装・ノーコードETL・受注一元管理システム経由など)を決めることを勧める。集約先が決まって初めて、その先にBIツールを接続する、という順番が現実的だ。

このような課題を感じている方へ

楽天市場・ZOZOTOWN・自社EC(Shopify)のうち2つ以上を組み合わせて運営している事業者向けに、各モールのデータを統合したダッシュボードを構築し、業種特有の指標に絞って週次でAIコメント付きのレポートをお届けしています。現状のデータ連携状況を確認できる無料診断もご用意しています。