結論
ホームページの保守費用を調べると「月5,000円〜5万円が相場」といった数字が並ぶが、検索上位の解説記事を確認したところ、その多くは出典の記載がないか、あっても利害関係のある事業者の非公開データだった。つまり「相場」は検証可能な統計ではなく、相場との比較で高い・安いを判断するのは危うい。保守費用は「実費(サーバー・ドメイン・SSL)」と「作業(更新・バックアップ・障害対応)」の2層に分けて内訳を確認するのが正しい見方で、実費は公式料金で月1,000円前後から確認できる。残りの金額が何の作業への対価なのかを説明できる契約が、適正な保守契約だ。
はじめに: 「相場」の数字には、ほとんど出典がない
ホームページの保守費用を検索すると、「月額5,000円〜2万円」「月5万円まで」といった相場の数字がすぐに見つかる。ただ、その数字がどこから来たのかを確かめると、心もとない。検索上位の解説記事を実際に確認したところ、相場の根拠が示されていないものが大半で、根拠が示されていた場合も、制作会社の紹介で収益を得る事業者の内部データ(調査方法は非公開)だった。つまり、世に出回っている「保守費用の相場」は、第三者が検証できる統計ではない。相場と比べて高い・安いを判断する前に、保守費用の中身がどうできているかを知る方が実用的だ。
保守費用の中身は「実費」と「作業」の2層
実費: サーバー・ドメイン・SSLは公式料金で確認できる
保守費用のうち、サーバー代・ドメイン代などの実費は各社の公式料金ページで誰でも確認できる。たとえば小規模サイトで広く使われるレンタルサーバーの月額は、エックスサーバーのスタンダードプランで990〜1,320円、さくらのレンタルサーバのスタンダードプランで500〜660円、ロリポップでは121円のプランからある(いずれも契約期間・プランにより変動、各社公式料金ページ、2026年9月確認)。ドメインは種類やキャンペーンの有無で幅があるが、年間で数百円〜数千円の水準が中心で、初年度の割引価格と2年目以降の更新価格が異なる点に注意が要る(正確な更新料は各管理会社の公式ページで確認したい)。SSL(通信を暗号化する証明書)には無料のものがある。
「Let's Encrypt は、非営利団体の Internet Security Research Group (ISRG) が提供する自動化された無料でオープンな認証局です。」
— Let's Encrypt 公式サイト(日本語版、2026年9月確認)
つまり、小規模なサイトの実費は合計しても月1,000〜2,000円前後に収まるケースが多い。保守費用として月1万円を払っているなら、差額の8,000円強は実費ではなく「作業」への対価ということになる。問題は、その作業の中身が何かだ。
作業: 更新・バックアップ・障害対応は「放置できない」から発生する
「作った後のホームページに作業なんてあるのか」と思うかもしれないが、たとえばWordPressのようなCMS(管理画面から更新できる仕組み)で作られたサイトは、ソフトウェアの更新を放置するとセキュリティ上の穴が残り続ける。実際に、独立行政法人IPA(情報処理推進機構)は2026年7月にもWordPressの脆弱性について注意喚起を出している。
「影響を受けるウェブサイトでは、直ちに更新することが推奨されています。」
— IPA(情報処理推進機構)「WordPressの脆弱性対策について」(2026年7月22日付 注意喚起)
そして更新作業は、まれにサイトの表示を壊すことがある。だから事前のバックアップと、壊れたときに戻す手順、異常に気づくための監視が作業としてセットになる。ここに、文言や画像の修正対応、サーバーやドメインの契約更新の管理、障害時の問い合わせ窓口が加わったものが「保守」の実体だ。保守費用の適正さは、この作業リストのうちどこまでが契約に含まれているかで決まる。
「適正か」は金額ではなく、この3点で判断する
- 実費と作業費の内訳が分かれて提示されているか(「保守一式」の一言で月額だけが書かれた見積もりは、比較も判断もできない)
- 作業の範囲が書面で確認できるか(ソフトウェア更新の頻度、バックアップの有無と頻度、障害対応・文言修正が含まれるか)
- やめるときの取り決めがあるか(解約時にサイトデータ・ドメイン・サーバーのアカウントを引き渡してもらえるか)
この3点が揃っていれば、月5,000円でも月3万円でも「その金額が何に対応しているか」を自分で判断できる。逆に、内訳のない月額は、相場と比べようがそもそも適正かどうかを判断する材料がない。
参考: 当サービスの場合(実額を公開しておく)
比較の一材料として、Suilivのウェブサイト制作は「制作+ドメイン・サーバー・保守」をまとめた期間契約の定額で、6ヶ月6万円・1年10万円・2年18万円(月あたり約7,500円〜1万円)としている。実費も作業もこの中に含まれ、期間終了時の自動更新はない。この形にしているのは、まさに本記事で書いた「何にいくらかかっているのか分からない」という状態を、料金設計の側からなくしたいからだ。他社と比較する際も、月額の数字ではなく、含まれている範囲を並べて比べることを勧める。
まとめ
- 「保守費用の相場」の多くは出典のない数字で、相場比較は判断の根拠にならない
- 保守費用は「実費(月1,000〜2,000円前後から。公式料金で確認可能)」と「作業」の2層で考える
- 適正さは金額ではなく、内訳・作業範囲・解約時の取り決めの3点で判断する
- 内訳を説明できない保守契約は、金額の大小にかかわらず見直しの余地がある
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よくある質問
Q. 月5,000円の保守契約は安すぎて危険ですか?
金額だけでは判断できない。実費+最低限の更新代行なら妥当な水準になり得るし、逆に作業が何も定義されていなければ安くても意味がない。本文の3点(内訳・作業範囲・解約時の取り決め)を確認するのが先だ。
Q. 保守契約を結ばず、放置してはだめですか?
更新の仕組みを持たない簡素なサイトなら、実費の支払いだけで表示が維持されることもある。ただしWordPressなどのCMSを使っている場合、ソフトウェア更新の放置はIPAが注意喚起するようなセキュリティリスクに直結する。「誰も担当していない」状態が最も危うい。
Q. 今の制作会社の保守が高い気がします。保守だけ他社に移せますか?
技術的には可能なことが多いが、前提としてサイトデータ・ドメイン・サーバーのアカウントを引き渡してもらえるかが鍵になる。契約書の引き渡し条項を確認した上で、移行先の候補に現状を見てもらうとよい。当サービスでも、現状確認の段階からの相談を受け付けている。
このような課題を感じている方へ
小さなお店・会社のホームページを、制作から公開後の保守・更新まで定額で引き受けています。社内に詳しい担当者がいなくても、任せるだけで運用が回る状態を作ります。「今のサイトの契約や名義がどうなっているか分からない」という段階のご相談も歓迎です。