結論
複数モールで広告を出稿していると、売上が伸びているモールに広告費も増やしたくなる。しかし売上の伸びが広告費によるものか自然な伸びかを切り分けないと、実際には効率の悪いモールに広告費を積み増してしまうことがある。モールごとに広告の仕組みも課金体系も異なるため、横断で広告費対効果(ROAS)を比較する視点がないと、広告費の配分は感覚頼みになりやすい。
はじめに: 広告費は「売れているモール」に増やせばいいのか
複数モールで併売していると、モールごとに広告費を出稿しているケースは多い。予算の見直しをする際、多くの場合「売上が大きいモール」に広告費を厚くする判断をしがちだ。しかし、売上の大きさと広告費の効き方は必ずしも一致しない。広告費をかけなくても元々売れる商品・モールもあれば、広告費をかけて初めて売れるモールもある。この違いを区別せずに広告費を配分すると、実際には効率の悪いモールに広告費を積み増してしまうことがある。
モールごとに「広告の仕組み」が違う
モール型ECの多くは、検索結果や特集面に商品を露出させる成果報酬型・クリック課金型の広告メニューを持っている。楽天市場には検索連動型の広告メニューがあり、Amazonにはスポンサープロダクト広告と呼ばれるクリック課金型の広告がある。Yahoo!ショッピングにもPRオプションと呼ばれる広告メニューが用意されている。一方でZOZOTOWNは出店形態(委託・自主MDなど)によって価格決定権や在庫リスクの持ち方自体が異なり、広告の位置づけも他のモール型ECとは単純に横並びで比較しにくい。同じ「広告費」という言葉でも、モールによって課金の仕組みが異なることは、まず押さえておく必要がある。
「売れているモール」と「広告費が効いているモール」は別物
あるモールで売上が伸びているとき、それが広告費の効果なのか、季節要因やセールなど広告費以外の要因によるものなのかを切り分けないと、広告費の判断を誤る。広告費をかけていないのに元々よく売れているモールに広告費を追加しても、追加分の伸びは限定的なことがある。逆に、広告費をかけた分だけ素直に売上が伸びるモールでは、広告費を増やす判断が合理的になりやすい。この違いは、モール別の売上・広告費・受注件数を横断で並べて初めて見えてくる。
横断で見なければ配分の判断はできない
- モール別の広告費と、その期間の売上・受注件数を並べて、広告費の伸びと売上の伸びが連動しているかを確認する
- 広告費をかけていない期間の売上水準(ベースライン)を把握し、広告費による純増分がどれだけかを見積もる
- 「売上が大きいモール」と「広告費対効果(ROAS)が良いモール」が同じとは限らないことを前提に、両方を並べて比較する
- 実質利益(手数料・返品コストを差し引いた後の利益)に対して広告費が見合っているかまで見る。売上ベースのROASだけで判断すると、手数料の高いモールでの広告投資を過大評価しやすい
モールごとにフォーマットが異なる広告レポートと売上データを毎回手作業で突き合わせるのは負荷が高い。データを一箇所に集約し、モール別に広告費・売上・実質利益を並べて継続的に見られる状態を作ることが、配分判断の精度を上げる現実的な一歩になる。
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よくある質問
Q. 広告費は売上が一番大きいモールに集中させるべきですか?
売上の大きさだけで判断するのは早い。広告費をかけなくても売れているモールに広告費を増やしても、純増分は限定的なことがある。広告費と売上の連動性(広告費をかけた分だけ素直に伸びるか)を確認したうえで配分することを勧める。
Q. モール別のROASはどうやって比較すればいいですか?
各モールの広告管理画面から広告費と成果(クリック数・受注件数など)を取得し、同じ期間の売上と並べて比較する。フォーマットがモールごとに異なるため、データを一箇所に集約してから比較する仕組みを作ると継続的に運用しやすい。
Q. 広告費対効果は売上ベースのROASだけ見ていれば十分ですか?
売上ベースのROASだけでは、手数料の高いモールでの広告投資を過大評価しやすい。手数料・返品コストを差し引いた実質利益に対して広告費が見合っているかまで見ることを勧める。
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楽天市場・ZOZOTOWN・自社EC(Shopify)のうち2つ以上を組み合わせて運営している事業者向けに、各モールのデータを統合したダッシュボードを構築し、業種特有の指標に絞って週次でAIコメント付きのレポートをお届けしています。現状のデータ連携状況を確認できる無料診断もご用意しています。